痩せすぎ女性の不妊・次世代への影響④
2023/10/16
金木犀の甘くさわやかな香りが漂い始め、秋の空気を感じられる時期になりました。
一日の中での気温差が大きくなり、疲労感を感じている方も少なくないかと存じます。
さてこれまで、日本の出生状況、不妊治療の現状、日本は先進国の中でもやせ過ぎ女性の割合が高いことをお伝え致しました。
今回は、痩せすぎていることでの出生のリスク、生まれて来る子供への影響について、考察致しました。
この図も見づらくて恐縮ですが、2500g以下の体重で生まれた低体重児の出生率の推移を国ごとに示しています。
一番上を行く水色の点線が日本です。青がスペイン、赤茶がOECD、一番下の太い水色破線がフィンランドです。
この図からわかるように、ここ30年近く、日本では他の国と比べて、低体重出生時が多いです。
日本国内の研究で、妊娠前のBMIが低いと早産になりやすいこと、身長・体重が平均より小さい子供が生まれやすくなることが知られております。
この研究を前提に、日本のやせ過ぎ女性の比率の高さを考えると、それによる低体重児割合が高くなっている可能性が考えられます。
昔は「小さく生んで大きく育てる」という言葉があったようです。
しかし、近年の研究では、「小さく生んで」というのは子供の将来の健康に良くないことがわかりました。
低体重で生まれた子供は、将来的に高血圧、心疾患、糖尿病、骨粗鬆症、早期閉経、その子が大人になった時の妊娠中の合併症のリスクが増えます。
また、妊娠中の時の母のストレス、栄養、薬や、赤ちゃんの時のタバコやニコチン、アルコールなどは、エピジェネティックスでの変異を引き起します。
エピジェネティックスとは、DNAの塩基配列を変えずに、メチル化などの変化での遺伝子の発現が変わることです。
この変異に加えて、食事、運動、汚染やストレスなども加わり、肥満、高血圧、腎機能低下、骨密度低下などを経て、心疾患、アルツハイマー、パーキンソン病、骨粗鬆症、がんなどの病気につながります。
つまり、将来の健康や病気へのかかりやすさは、胎児期と生後早期の影響を受けて決定されます。
産婦人科の先輩に、今回のスライドをみて頂いたのですが、こんなコメントもありましたので、ご紹介致します。
“若くても、急な体重減少では排卵障害以外に、エストロゲン低下による脱毛、子宮の未成熟がおこり、また下り物トラブルに繋がることもあり、決して珍しい話ではない。”
これまでのまとめです。
出産が高齢していますが、不妊治療は身体的、精神的、経済的な負担は大きいです。
やせ過ぎ女性は、不妊症になるリスクがあるのみではなく、生まれた子供の将来の健康や病気のなりやすさにも悪影響を及ぼす可能性があります。
以上です。今回のテーマは記事が長くなってしまい、4回に分割致しましたが、ご一読頂けたのでしたら幸いです。
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