最強の抗酸化物質とは
2023/07/21
蝉の声があちこちで聞こえ、日差しも刺さるように強く、夏も本番になって参りました。
さて、以前メラトニンの抗酸化作用について言及致しました。
しかし、抗酸化作用がある物質は数多くございます。
例えば、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、ルテイン、レスベラトール、カプサンチン、アスタキサンチンは抗酸化作用があることが知られます。
ここに列挙した物質は、抗酸化作用を持つ物質の一部にすぎません。
抗酸化作用をもつ様々な物質の中で、どれが強い抗酸化作用を持つのでしょうか。
Nishidaらは、ポリフェノール、アスコルビン酸、コエンザイムQ10などの様々な抗酸化物質の作用を比較した研究を行いました(Nishida et al., 2007)。
O2計測システムを用いて、それぞれの物質の活性を調べたところ、下記の結果がわかりました。
・α-トコフェノール、α-リポ酸は、かなり高い活性を認めた
・一方で、アスコルビン酸、コエンザイムQ10、ポリフェノール(カプサイシン、プロブコール、エダラボン、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、トロロックス)はわずかな活性だった
・カロテノイドは他の物質よりも高い抗酸化作用を示し、特にアスコルビン酸は最も強い活性を認めた
アスタキサンチンは、自然界に存在する赤い色素で、サケ、イクラ、エビ、カニ、鯛、ヘマトコッカス藻などに多く含まれるカロテノイドの一種です。
アスタキサンチンは、ビタミンCの6000倍、コエンザイムQ10の800倍、α-リポ酸の75倍、緑茶カテキンの550倍の抗酸化力があると、この研究では示されました。
また、Carlsenらの研究では、薬草、ハーブ、スパイス、栄養補助食品や代表的な食品の抗酸化作用の評価を行いました。
スパイス、ハーブ、サプリメントは抗酸化作用が高かったですが、ベリー類、ナッツ、チョコレート、野菜の抗酸化作用も高く、また非植物性食品より植物性食品の方が抗酸化作用が高いことがわかりました。
サケが赤いのはアスタキサンチンを含むオキアミを食べ、エビやカニはヘマトコッカス藻を食べて、紫外線のダメージを防ぐことを考慮すると、植物性であるアスタキサンチンが抗酸化作用に良いということは、Carlsenの研究に矛盾しません。
紫外線が強くなってきたこの時期にアスタキサンチンを含むお食事をするとお肌に良いかもしれません。
【引用文献】
・Yasuhiro Nishida, Eiji Yamashita and Wataru Miki. Quenching Activities of Common Hydrophilic and Lipophilic Antioxidants against Singlet Oxygen Using Chemiluminescence Detection System. Carotenoid Science. 2007. 11; 16-20.
・Carlsen MH, Halvorsen BL, Holte K, Bøhn SK, Dragland S, Sampson L, Willey C, Senoo H, Umezono Y, Sanada C, Barikmo I, Berhe N, Willett WC, Phillips KM, Jacobs DR Jr, Blomhoff R. The total antioxidant content of more than 3100 foods, beverages, spices, herbs and supplements used worldwide. Nutr J. 2010 Jan 22;9:3. doi: 10.1186/1475-2891-9-3. PMID: 20096093; PMCID: PMC2841576.
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